水草の花 30
今日、退院した。
1カ月もお世話になった。
靴をはいた。
足がやせて、ぶかぶかになっていた。
看護師さん達が見送ってくれた。
水沢さんが家までつきそってくれた。
自分の部屋がなつかしく感じる。
「 良かったね。」
「 うん ・・・ 水沢さん、あのときはほんとうにごめん。」
「 え 、 」
「 僕が無理やり、」
「 ・・・ 私が弱いから、」
「 弱くなんかない、よくがんばったよ。」
「 私 ・・・ 迷惑かける。」
「 いや、できないことは僕がする。」
「 ・・・・・ 」
「 何か心配だったら、僕も考える。」
「 ・・・・・ 」
「 大丈夫だよ。」
「 私は何もしてあげられない。」
「 そんなことない、一緒にいてくれる。」
「 ・・・ 」
「 いつも、 ありがとう を言える水沢さんと一緒にいたいんだ。」
「 ・・・・・・ 」
「 ずっと一緒にいてほしい。」
「 うん 」
「 水沢さん ・・・ 」
「 ありがとう 長谷川君 」
白い頬をつたって、
涙が光る。