水草の花

お読みくださいまして、ほんとうにありがとうございます

水草の花 9 



 久しぶりに遊歩道を歩く。

 日向と木陰のバランスが気持ちいい。
 空気が違う。
 小川の音に癒される。

 絵になるところがたくさんある。
 どこにしようかまよう。


( あれ? あそこにいるのは水沢さん? )
 水沢さんが小川を見ている。

「 魚でもいる? 」
「 あ、長谷川君、」
「 ずっと見てるけど、」
「 あ、えっと、 花、水草の花、」

 水面で、小さな白い花がたくさん咲いている。

「 えー! 水草も花が咲くんだ、」
「 そうなの、水草も花が咲くの。」

 まったく知らなかった。
 驚きだった。
 とてもかわいい花だ。

「 それでね、水草も何種類もあってね、
  花の色も黄色とか赤とか紫もあってね ・・・ 」

 とても嬉しそうにしゃべってくれる。
 僕も嬉しくなる。

「 私はこの白い花が一番好きで、
  咲いたときは、ほんとうに嬉しくて ・・・ 」
「 水面に出て咲くって、なんかすごいね。」
「 うん、太陽の光が弱いのに水の中で頑張ってる。
  頑張って、頑張って、こんなにきれいな花が咲くの。」

 僕は感動してしまって、何も言えず見続けた。

 そうだ、この水草の花、この水面の光を描こう。
 テーマが決まった。