水草の花 29
水沢さんが帰ってすぐ、青山と優君が来てくれた。
「 大丈夫か? 」
「 うん、大丈夫。」
かなり心配してくれていた。
一緒によく遊んだゲームの話などしていたが、
おもいきって、これまでのことを話した。
「 優が誰でも気がつく障害だから、いろいろあったよ。」
「 小学校のとき、いじめられた。」
青山は、そのたびにケンカをしたそうだ。
弟を守ることに必死で、相手をねじふせようとした。
優君が言う。
「 でも違う。これではだめ。ふっきる?胸をはる?そんな感じ? 」
青山が続ける。
「 ゲームばっかりするようになって、どんどんうまくなって、
そうしたら友達ができてたね。」
「 歩いてたら、ひそひそしゃべってるおとなもいたよ。」
「 でも、気にしないように決めた。」
「 そのうち、気にならなくなったよ。」
はじめて優君と会ったとき、正直、驚いたことを思い出した。
でも次に会ったときには、とくに何も感じていなかった。
ふつうだった。
青山は言った。
「 受け入れてなかったのは、自分自身だったかもね。」
僕は、なにか一気にこみあげた。
涙がおさえられない。
ボタボタおちる。
ふたりは、ほんとうにすごい。
こんな友達がいて、僕は幸せだ。
ありがとう 青山
ありがとう 優君