水草の花 20
水沢さんは、ゆっくり、少しずつ話してくれた。
私立中学校の受験に失敗したこと。
そのせいで御両親が険悪になり、離婚。
おかあさんにひきとられるが、
「 あなたのせいでこんなことになった 、」と責め続けられた。
水沢さんも、自分自身を責め、気がついたらおかしくなっていた。
他人との接触が怖い。
床に落ちたものが触れない。
手を何度も何度も洗い続ける。
持ちものを落としていないか、いつも不安。
鍵をかけても、心配で確認し続ける。
土が触れず、園芸部では手袋をはずせない。
中学生のときは、学校のトイレにも入れなかった。
「 私、ふつうじゃないから 、 異常だから 」
かわいそうで、僕はたまらなかった。
「 そんなに頑張ってきて ・・・ つらかったね ・・・ 」
「 ・・・・・・ 」
「 ほんとうに 、つらかったね ・・・ 」
僕は涙をこらえた。
必死にこらえた。