水草の花 19
駅からバスで、バラ園に向かう。
座わると、水沢さんが近くて照れる。
バラ園は広くて空が大きい。
いろんな色のバラがたくさん咲いている。
「 もう少し時季が早かったら、
もっとたくさん咲いてたんだけど、」
「 これでも充分すごいよ、
絵の中に入ってるみたいだよ。」
「 そうでしょ、きっとそう言うと思ってた。」
嬉しくなる。
「 山野草のコーナーがあってね、こっちだよ。」
バラの中を歩いていく。
抜けると、おだやかな緑がひろがっている。
「 ほら、山野草の花。」
うす紫色の小さな花。
「 うわー、かわいい花だね。」
「 かわいいでしょ。」
「 うん、メチャクチャかわいい。」
心が躍る。
舞い上がる。
「 水沢さん、僕とつきあってほしい。」
「 え ・・・ 」
「 一緒にいるとすごく楽しい。」
「 え うん ・・・ 」
「 いつも一緒にいてほしいんだ。」
「 ・・・ 」
「 だめかな ・・・ 」
「 ・・・ たぶん、私のこと、いやになると思う。」
「 え? 」
「 ・・・ 」
「 なんでそんなこと言うの、」
「 ・・・・・・ 」
「 いやになるわけないよ。」
「 ・・・ 私ね 」
「 ん? ・・・ 」
「 私、 実は 強迫障害 」
「 キョーハクショーガイ? 」
はじめて聞く言葉だった。